2020年から、全国の小学校でプログラミング教育が必修化されます。また、社会では、これからの時代を担うIT人材の育成が叫ばれており、いま、教育の場や子育て中の家庭のために、さまざまな教育プログラムが開発、提供され始めています。以前、ライフイズテック株式会社による「MOZER」についての記事をお伝えしましたが、同社が、この春、新しい学習教材を開発をしたようです。
©Disney スタートキット「魔法の本」
ライフイズテック社が3月6日に発表したプログラミング学習教材は、「テクノロジア魔法学校」。わくわくさせられるネーミングですが、これは、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とライセンス契約し、ロールプレイングゲームのような壮大な冒険物語やディズニーの世界を楽しみながら、プログラミングやクリエイティビティをオンラインで学ぶもの。2018年4月21日からのスタート予定で、公式サイトでの先行予約も開始されました。
https://youtu.be/nJBt6fGTmaM
ストーリーの主題歌「エレクトロ・ワールド」(Perfume)も使用されたPV
「JavaScript/HTML/CSS/Processing/Shader」といったプログラミング言語を軸に、メディアアート、ゲーム制作、Webデザインと3つのコースを総合的に学習。自分のペースで学習を進めることで、たとえば、個人差はありますが、週1回2時間の学習で約1年間、毎日学べばおよそ2-3カ月程度で学べる内容だそうです。
©Disney レクチャー部分のわかりやすい図解(上図)やクイズ形式などの工夫
創造性教育と個の最大化をめざす「学び方改革」
同社は、「プログラミング教育をはじめとした次世代の育成には、創造性教育と個の最大化を目指す「学び方改革」が重要」と考えており、次のように発表しています。
知識習得を重視した正解のみを求める教育ではなく、自ら考え新しい価値を作り出す力をつける創造性教育、横並びの一斉主義ではない個の最大化を目指し、オンラインで多くの人が個々のスピードにあわせて楽しく、継続的に学べる本商品の開発に至りました。
さまざまな場所から個々のペースで学習を進められる柔軟性はあるものの、同社によると、オンライン学習の修了率は5%(※)という研究結果もあり、オンライン学習の最大の課題は継続性だそうです。楽しく続けるための工夫も凝らした本教材の開発は、その課題へのチャレンジも意味しているようです。
※ 出所:HarvardX and MITx: Four Years of Open Online Courses, 2016
3月6日に実施された発表の様子
「なぜ、プログラミング教育なのか」への答え
プログラミング教育は、まだ日の浅い学習で、模索も続く分野です。なぜ、プログラミング教育なのか、どのようなプログラミング教育が理想なのか、という問いに対する具体的な答えは、教育現場に本格的に導入された後に見出されていくのではないかと感じます。スピーディーな進化が先だったIT社会に対応するために、教育界が、後追いをする形での教育を余儀なくされているようにさえ見えます。
しかし、「なぜ、プログラミング教育なのか?」「具体的にどのようなプログラミング教育をめざしたらよいのか」という、まだ社会では未整理にも見える問いに対して、ライフイズテック社は、ICTの可能性をポジティブに捉えながら、独自の解答を紡ぎ出しているようです。
今回開発された教材では、ITを通して、創造的な力を育てることや、ひとりひとりの可能性を最大限に活かして開花させること、教育を受けるにあたってのさまざまな格差をなくし多くの人が参加できる形にすること、また、学習者を魅了して続けやすくすることなどの実現のため、多くの工夫が考えられています。これは、同社が、これまでの事業を通して、プログラミング教育の意味を具現化しながら、追求してきたことではなかったでしょうか。
教材のテーマ「プログラミングは現代の魔法である」という言葉にも、世界をこれほどまでに急速に変えていくITやそれを実現するプログラム技術の力とともに、同社がITと教育にかける純粋でポジティブな想いやそのための実践の重なりを、感じさせられるように思いました。
「テクノロジア魔法学校」 特典つきの先行予約も! 2018年4月21からのスタートを前に、3月6日より先行予約を「テクノロジア魔法学校」公式サイトで開始。「テクノロジア魔法学校」の販売は、公式サイトのほか、全国の家電量販店など150店舗以上で展開する予定。
ライフイズテック株式会社 ライフイズテックは、2011年よりこれまで延べ27,000人以上の中学生・高校生へIT・プログラミングを学ぶキャンプやスクールを実施してきました。また、シンガポール、オーストラリアでもプログラミングキャンプを展開しています。さらに、プログラミングを通じて社会課題を解決できるアントレプレナーシップ力/起業家の育成プログラム「Be Startup」、女性向けプログラム「Code Girls」、教員向けサービス「TECH for TEACHERS」などさまざまな教育サービスを通じ、中学生・高校生の「創造する力」と「つくる技術」の習得を目指しています。地域格差・経済格差によるプログラミング教育格差の是正を目的に、プログラミングやITを楽しみながら学べる「MOZER」を開発。2014年Google RISE Award、2016年EdTechXEurope グロース部門最優秀賞を受賞。
(本記事の情報は、公開当時のものです。)