“パパの育児”を、かっこよく楽しくすると? 街のイベントで変えていく|渋谷ポジティブ アクション(SHIBUYA POSITIVE ACTION)【レポート】

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IT大手のヤフーが、週休3日の働き方を3年間で全社員に導入していく方針を発表しました。働き方を変えていくことは、日本の急務のひとつとされています。また、就任したばかりの小池百合子東京都知事は、9月12日に「イクボス宣言」をし、子育てや介護のしやすい仕事環境をめざしての宣言を、都庁の管理職全員に対して求めました。育児を子育ての当事者に任せきりにするのではなく、職場からも、育児環境を考えていく流れが生まれています。

子どもたちの学びもアクティブラーニングに移行していく時代。働き方も変わるなか、これまで仕事に追われがちだった男性は、子どもや家庭とどのように関わっていったらいいのでしょうか。今回は、今月、東京渋谷の真ん中で、企業や行政をまきこんで行われた地域の青年会議所による、パパの育児にフォーカスしたイベントの様子をご紹介します。

企業や地域も巻き込んでの盛りだくさんイベント

開催されたのは、「渋谷ポジティブアクション(SHIBUYA POSITIVE ACTION)」。9月10日土曜日、若者の街とも言われる渋谷の3ヶ所を拠点として、トークショーや、複数の親子イベント、ワークショップなどが繰り広げられました。主催したのは公益社団法人 東京青年会議所渋谷区委員会で、イベントは『男性の育児・家事体験を目指す事業プログラム』としてのもの。渋谷区の後援や地元企業をはじめとする多数の協賛を受けて、渋谷の街から、パパの育児を家族で楽しめる形のプログラムが、一日かけて提供されました。

spa01-02 spa01-03会場は、土曜日の渋谷。3つの会場を拠点に開催。

内容は、本当に盛りだくさんで、おもちゃのプレゼントや、ベビーカーの実演、楽しく補助輪がはずせる自転車やブレイブボードの教室、好奇心を育てる子育てを学ぶサイエンス教室などすべてが無料。そして、トークショーは、渋谷の町も生活圏にし、夫婦ともに社会に注目される仕事をするなかで育児もする俳優と区長のものです。さらに、ママのための買い物クーポンや、「パパに子どもを任せても大丈夫」とプロのベビーシッターなど100人に及ぶスタッフまで用意されていました。

当日は、夏の暑さも残る晴天の日曜日。ハチ公前広場、渋谷区役所仮庁舎前、美竹の丘の3会場に、多くの親子連れが参加しての開催になりました。

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渋谷区役所仮庁舎前では、開催時間前から長蛇の列が。写真は、補助輪はずしがスムーズにできる自転車を使った講座。

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渋谷のシンボルとも言えるハチ公前広場にはステージが。

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おもちゃやクーポンのプレゼントもありました。

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美竹の丘では、屋内でのプログラムが。RAKUTOも理科実験工作の講座をしました!

杉浦太陽さんと長谷部健さん。3児の父ならではのトークを展開

トークショーでは、お互い3児の父で働く妻をもつ俳優・杉浦太陽さん(妻はタレントの辻希美さん)と渋谷区長・長谷部健さん(妻はテレビ朝日社員で元アナウンサーの佐分千恵さん)が、ざっくばらんな雰囲気で、父親育児や渋谷という町について語りました。

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俳優・杉浦太陽さん(左)と、渋谷区長・長谷部健さん(右)。

杉浦さんは、読み聞かせの工夫など、3児の父としてのエピソードや子育てワザを披露。トラブル談として、育児に参加しているつもりが、内容やタイミングの問題でママの満足にはつながらなかった、という、まさに男女間の意識のギャップネタも出ました。多くの夫婦ですれ違いがちなポイントとも言えますが、杉浦さんは、ここに解決策を見出していました。

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戸惑って「じゃあ、どうすればいいの!?」と途方に暮れた杉浦さんは、「それだよ」 と言われてはっとしたそうです。どうしたらいいか、ちゃんときいてほしかったのだと気づき、夫が「勝手にとりくむ」育児ではなく、育児も家事で得意で関わる時間も多くなりがちな妻の考えや思いを聞きながら「一緒に進める」育児を大切にするようになったとのこと。そして、「10年も一緒にいると不思議なもので」だんだんわざわざきかなくても、わかるようになってきたとのこと。会場のみなさんのヒントにもなったと思います。

12年間にわたる渋谷区議会議員を経て、昨年就任した長谷部健区長からは、待機児童対策も含めた子育てにまつわる構想が、これまでの自身のとりくみや、想いとともに伝えられました。渋谷区で育ち、区政にも携わってきた長谷部さんは、公園や育児支援施設のリニューアルや充実、ごみのポイ捨て対策のNPO主催、また、全国で初めて渋谷区が実施した同性のパートナーを認める条例の立役者としても知られます。

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区知事になってから忙しくて育児に関わる時間が減ってしまったことなども語り、「忙しいのはわかってもらってはいるが」と妻の思いを気づかう発言や、妻がわかってくれていても「どこまでやらなくて大丈夫か」と自分の中で考えてしまうなどの話がありました。3人の娘のうち、第三子はまだ2歳。子育てが気になりながらも社会では責任の重い仕事に臨み、働く妻とのパートナーシップにも向かい合おうとする、現代の「イクメン」のジレンマが垣間見える本音だったとも思います。会場には、共感をおぼえる“パパ”や、感じるところのある“ママ”も多かったのではないでしょうか。今後の渋谷区としての動きも期待したいです。

“ママ”や子どもを大事にしながら“パパの育児”を楽しく変える

この日のイベントで印象的だったのは、商業的なプロモーションをメインにしたイベントではなく、父親の育児にフォーカスすることで夫婦関係や親子関係、暮らし全体を豊かにしていこうという、町も巻き込んだ、非営利団体によるイベントだったことです。

イベントでは、「育児家事を楽しんでいるパパですか?」「仕事も育児家事も趣味も、かっこよくこなすパパになりませんか!」と呼びかけられ、「日常にできるパパの育児家事体験を通じて、夫婦のあり方やママへの感謝の気づきも目的」とされていました。

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今、日本には、少子化対策や、女性の社会進出という課題があります。家庭を見ると、男性は、仕事と家事育児の板挟みにもなりがちで、女性は、依然として家事や育児の大きな負担を抱えがちというデータも。夫婦間の意識ギャップも問題になっています。家庭ごとに差はありますが、全体でみると、日本の父親育児や夫婦間コミュニケーションは、世界の先進国の中でも、けして質の高いものと言えそうにありません。

でも、この日は、わが子を慈しみ、家族と充実した時間を過ごそうとするたくさんの“パパ”や“ママ”の姿があり、手慣れた調子でベビーカーや抱っこ紐を扱う「イクメン」たちの姿も見られました。

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「世界的にも注目を集め、様々な文化・情報を発信してきた渋谷の街」に集まる親子連れに、父親が日常でできる育児の実体験を提供するというこのイベント。それは、現状や課題をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブな形で、企業が開発した選りすぐりの商品や教育プログラム、区が進めている構想、俳優や区長の父親や夫としての声などに触れる機会をつくり、新時代のパパによる、楽しくてかっこいい育児のイメージを体感とともに世に提供するものなのだとも感じました。

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24時間がせわしなくすぎ、涙や笑い、心配や不安と感動がいつも同居する子育て家庭。よりよい形で暮らすにはどうしたらいいのか、具体的な方法も価値観も、自分の育ちや今までの世代をふりかえっても答えがあるとは限らないのが、今の時代の育児です。

“ママ”はもちろん、こうして“パパ”も、そして祖父母も、同性カップルで育児をする人たちも、子育てに携わる誰もを孤立させず、新しい時代の子育てを企業や行政、地域の人々もつながる形で提案し、みなで前向きに体感していく機会を増やすことで、超えられる何かがあるかもしれません。

次回の記事では、この日、RAKUTOが開催した、親子アクティブラーニング講座の科学実験教室のことをお伝えします!

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