「こども家庭庁」の設立で少子化対策が加速、具体策も検討へ

2023年4月3日、日本政府は、少子化対策・子育て支援をまとめる新たな省庁「こども家庭庁」を発足しました。この省庁は、厚生労働省や内閣府など複数の省庁が縦割りで担ってきた子ども政策を一元的に取りまとめ、子どもの意見を政策に反映させることを目的としています。

こども家庭庁は、東京の霞が関ビルディングに入居し、約430人の職員が所属しています。厚生労働省から保育所や児童虐待防止など、内閣府からは認定こども園や子どもの貧困などの業務を移管しており、他の省庁に対して改善を求める「勧告権」を持っています。

発足式には、小学生から高等専門学校までの子どもや若者が出席し、こども家庭庁の看板に使う文字を書いていきました。岸田総理大臣は、「子どもたちにとって何が最もよいことなのかを常に考え、『こどもまんなか社会』の実現が使命だ。何よりも大切なのは、子どもたちの意見を聞き、実際に政策に反映させることだ」と述べ、子どもの声を政策に反映させることを強調しました。

また、小倉こども政策担当大臣は、「地方創生や住宅政策、環境政策など、子どもや若者と関係ないように見える政策でも、それぞれの政策に子どもや若者の意見を反映できるような取り組みを行っていきたい」と述べ、子どもたちが生きやすい社会づくりに取り組むことを表明しました。

こども家庭庁の発足に対しては、多くの親子から期待の声が寄せられています。小学6年生の男子児童は、「子どもには子どもなりの意見があるので、考えてほしいなと思っていました。日常で接する大人以外に、いろいろなことに協力してくれるこども家庭庁ができたのはうれしいです」と話しています。

一方で、中学1年生徒の女子生徒は、「子どもが楽しく過ごせるような政策を実施してほしい」と述べ、子どもたちの環境改善に期待を寄せています。また、ある21歳の母親は、「子どもたちの意見を反映させる省庁ができるのは、子どものためにもすごくよいことだと思います。子どもがまだ小さいので、保育園での先生の虐待も怖いなと思っていたので、いいと思います」と話しています。

政府は、こども家庭庁の発足にあわせて、少子化対策の具体策を検討することを表明しました。具体的には、所得に関係なく児童手当を受け取れるようにすることや、就労状況に関係なく保育所を利用できる制度を導入することなどが盛り込まれています。こども家庭庁は、これらの制度の具体的な検討を担当することになります。

こども家庭庁は、幼稚園や小学校の所管は文部科学省に残したままになり、幼稚園と保育所との幼保一元化は見送られました。新しい省庁の設置は、2021年9月のデジタル庁に次いで行われたものとなります。

こども家庭庁の発足によって、日本政府は子どもたちの声をより聞き入れ、子どもたちが生きやすい社会を実現するための取り組みを進めることになります。親子からは期待が寄せられており、今後のこども家庭庁の活動に注目が集まっています。

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