覚えなくていい時代?! あなたは大丈夫?!「デジタル健忘症」| Kaspersky Labレポート

今の時代、「わからないことはネットで調べればよい」という声が、当たり前に言われます。教育現場でも、IT技術を駆使して、よりアクティブにクリエイティブに学んでいこうとする時代が到来し、その導入に力が注がれているところです。しかし、その一方で、人間がこの技術に頼りすぎて頭を使わなくなるのでは・・・?という心配をしたことはないでしょうか。

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「デジタル健忘症」が日本でも進んでいる?!

デジタル健忘症」という現象が、言われています。デジタルデバイスに情報を保存したことで安心してしまい、その情報を忘れてしまう現象のことだそうです。この現象について、IT上の脅威から世界を守る「Save the World from IT threats」をミッションとするKaspersky Labが、2015年から調査を進めてきました。その調査によると、今、「デジタル健忘症」は、国や年齢、性別を問わずに起きていおり、日本も例外でないことがわかったそうです。

「昔に比べて記憶しなくなった」日本人が7割

日本では、18歳~69歳の7割以上が「デジタルデバイスに頼ることで、昔に比べ記憶しなくなった」と回答していることがわかりました。今年の9月に、株式会社カスペルスキーが実施した、日本国内の18歳から69歳のインターネット利用者623人対象の「セキュリティ意識」に関するインターネット調査による結果です。

気になる人は、次のサイトで「デジタル健忘症」のチェックテストを受けられます。

「デジタル健忘症」のチェックテスト

このテストを、私自身も試してみると、「大多数の回答者とは違って、記憶をスマートフォンに肩代わりしてもらうタイプではない」とのこと。少しほっとしました。ただ、私は、ほとんど一日中、パソコンやスマートフォン、タブレットが身近にある暮らしをしていながら、30代以下の若い人たちほど、IT機器を使いこなせていない、ということなのかもしれません・・・。

ネットなどに頼りすぎずに上手に共存

「デジタル健忘症が日本でも身近に起きている」と同社は指摘し、「ネットやデバイスを利用すると便利ですが、頼りすぎずに上手に共存することが大切」としています。また、インターネットを安全、安心に利用するために、デバイスとそこに保存している重要なデータを自分で守ることも大切、とのこと。

 ・PCやスマートフォンなどのデバイスに保存しているデータは必ずバックアップをとる。
 ・デバイスを堅牢なセキュリティ製品で保護する。
 ・インターネットやデジタルデバイスへの依存傾向を把握する。

「覚える力」の意味は?

人の「覚える力」を補って情報を管理してくれる技術は今後もますます暮らしに取り入れられ、その一方で、これまでの時代にはなかった心配が生まれるのは、当然のことと言えるでしょう。子どもの育ちへの影響には特に慎重なりたいところですので、マイナス面もチェックして、冷静な対応を考えていきたいところです。

人にとって「覚える力」とは何なのか。「自分の頭で覚える」ことに力を入れなくなると、何が起きるのか。弊害はあるのか、ないのか。変わりの力が育つのか。見つめていく必要があるように思います。


以下、カスペルスキー社による調査結果の詳細を掲載します。

1.7割以上の人が、デジタルデバイスへの依存により、昔に比べ記憶しなくなったと回答

記憶に関する感覚について、あてはまるかどうかを聞いた質問では、「今の時代は覚えなければいけない情報(電話番号やメールアドレス)が大量にあるので、すべて覚えきれない」に「あてはまる」と答えた人は82.9%に上りました。また、「漢字や言葉を思い出せずに、ネットで調べることがある」は78.7%、「PCやスマホ等のデジタルデバイスに頼ることで、昔に比べ記憶しなくなった」は73.1%と、インターネットやデバイスに依存する傾向を示す結果となりました。

●以下の意見や感覚について、どのくらいあてはまると思いますか。最も近いものを一つだけお選びください。
 sub4
  ・「今の時代は覚えなければいけない情報が大量にあるので、すべて覚えきれない」 82.9%
  ・「漢字や言葉を思い出せずに、ネットで調べることがある」 78.7%
  ・「PCやスマホ等のデジタルデバイスに頼ることで、昔に比べ記憶しなくなった」 73.1%
  ・「疑問の答えは早く知りたいので、図書館に行ったり本で調べたりする時間はない」 62.7%
  ※数値は「とてもあてはまる」「ややあてはまる」のスコアの計(%)
(n=520、単一回答、セキュリティ製品利用者を対象、選択肢:「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」)

2.30歳未満の41.3%が、覚えておくべきことすべてをデバイスに保存

「覚えておくべきことはすべてデバイスに保存してある」に「あてはまる」という回答は30歳未満で41.3.%と、全体平均の32%に比べて10%近く高い結果となっています。特に18-29 歳男性では、「インターネットは、自分の脳の延長のような感覚」という回答が半数近く(48.1%)を占めました。
なお、2015年にKaspersky Labが海外で実施したデジタル健忘症に関する調査では、16歳~24歳のインターネット利用者のうち53%が「覚えておくべきことをすべてデバイスに保存してある」と回答しており、海外においても若年層ほどデバイスに依存する傾向が強く表れていました。


●以下の意見や感覚について、どのくらいあてはまると思いますか。最も近いものを一つだけお選びください。
 
  ・「自分が覚えておかなければならないことは、ほぼ全部スマホやPCに保存してある」
  - 全体 31.9%
  - 18-29歳男性 40.4%
  - 18-29歳女性 42.3%
  ・「インターネットは、自分の脳の延長のような感覚」
  - 全体 39.0%
  - 18-29歳男性 48.1%
  - 18-29歳女性 40.4%
  ※数値は「とてもあてはまる」「ややあてはまる」のスコアの計(%)
(n=520、単一回答、セキュリティ製品利用者を対象、選択肢:「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」)

3.72%が子どものころの電話番号を全部思い出せると回答

「子どものころの電話番号を全部思い出せる」と回答した人は72%で、過去の記憶は覚えているにもかかわらず、現在では記憶をネットやデバイスに依存している傾向が浮き彫りになりました。2015年実施の海外での調査でも同様の傾向があり、約半数(47%)の人がすぐに10歳~15歳のころの電話番号を思い出すことができました。

●自分が子どもの頃の自宅の電話番号(固定電話)を覚えていますか。
sub3
  ・「番号を全部思い出せる」  72.0%
  ・「番号を一部分思い出せる」 13.8%
  ・「思い出せない」      14.2%
(n=593、単一回答、固定電話保持者を対象)

4.半数近くがデバイスにしかデータを保存していないと回答

デジタルデバイス本体にしかデータを保存しておらず、バックアップを取っていない人は、スマートフォンでは42.5%、PCでは48%、タブレット端末では50.3%に上り、自分の記憶をデバイスに依存しているにもかかわらず、大切なデータを保護していないことがわかりました。

 

●普段使っているデバイスのデータを、他の場所にバックアップしていますか。
 sub1 ・「デバイスにしか保存していない」
  - PC 48.5%
  - スマートフォン 42.5%
  - タブレット端末 50.3%
  ・「クラウドサービス(iCloudなど)」
  - PC 9.8%
  - スマートフォン 26.1%
  - タブレット端末 22.5%
  ・「SDカードやUSBなどフラッシュメモリー」
  - PC 21.0%
  - スマートフォン 21.4%
  - タブレット端末 14.6%
  ・「CD-Rなどの光ディスク」
  - PC 10.0%
  - スマートフォン 3.5%
  - タブレット端末 4.0%
  ・「外付けハードディスク」
  - PC 27.3%
  - スマートフォン 6.8%
  - タブレット端末 10.6%
  ・「パソコンのハードディスク」
  - PC -
  - スマートフォン 18.5%
  - タブレット端末 15.2%

(n=623、複数回答)

(出典:株式会社カスペルスキーが、日本国内の18歳から69歳のインターネット利用者623人を対象に実施した「セキュリティ意識」に関するインターネット調査。調査期間は2016年9月1日~2日。調査委託先は株式会社マクロミル。)

※画像:株式会社カスペルスキー

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