憲法、選挙、世界遺産、ヒアリ・・・そして◯◯! わかりますか? 子どもたちが問われた時事問題 | 2018年度 中学入試

最近の国立・私立中学の入試問題では、多くの学校で時事問題がとりあげられています。今年2018年度の入試でとりあげられた内容や、そこから見える世相とは? 今の時代の考察に必ず話題にあがるといっても過言ではない「〇〇」という語も、中学受験に登場し始めたようです。

時事問題が、多くの中学校の入試問題に登場

2020年からの大学入試改革を控え、国立・私立の中学や高一貫校の入試内容も様変わりしています。それらの変化のなかでも特に注目されている要素のひとつが、頭に詰め込んだ知識を問うばかりでない、いわゆる思考系問題の動向です。教科書や塾テキストの学習内容と身近な暮らしや社会課題とを絡めるような出題も、社会や理科を中心として、国語や算数でも見られるようになりました。

この記事では、2018年度の中学入試に、昨年実際に国内で話題になった時事問題がどのように登場したかを見てみたいと思います。

朝日小学生新聞」(日刊の全国紙。月ぎめ1769円 税込)を発行する朝日学生新聞社が2018年度の国立・私立中学校約70校の入試問題を調査したところ、8割あまりの中学で、時事問題や時事問題を入り口にした出題があったそうです。

2018年度は憲法、選挙、世界遺産にヒアリ、電子マネーも

今年度の中学入試で目立ったのは、衆議院議員などの選挙憲法、また、をめぐる動きや自然災害、海外からの観光客世界遺産人口問題、オリンピック、電子マネーヒアリなど。どれも、2017年に、国内で大きく話題になったことがらです。この冬、RAKUTOの教室でも、入試間近の受験生達は、たとえば、日本国憲法の内容やそれにまつわる社会課題を自身の頭で考えながら整理・おさらいをしていました。

憲法

憲法や選挙制度は、政治や歴史の分野としてもよく問われますが、時事問題と関連がある出題も多いです。憲法は、今年度は、下記の図(朝日学生新聞社より)にあるような天皇の国事行為についての内容も多数。2019年4月のことを思うと、日本全体としての重要テーマとして、2019年度以降の受験生も考えておきたい内容だと言えそうです。

(資料:朝日学生新聞社)

選挙

選挙も頻出テーマですが、選挙制度のしくみは、一般の社会人にとっても、複雑に感じたり最新の変更事項を把握しきれずにいたりすることも多いのではないでしょうか。現在の日本の選挙制度には課題もあり、改変も重ねられています。

今回の中学入試では、たとえば、衆議院議員の定数(人数)について「小選挙区から289人、比例代表から176人」という正しい文を選択したり(東京・明治大学付属明治中)、国会ができてから現在まで選挙権がどのような人にあたえられてきたのか、いくつかの段階に分けて記述したり(神奈川・栄光学園中)という出題がありました。

(資料:朝日学生新聞社)

新しい教育の動きが反映? 知識としてではない問われ方

時事問題が、単に、知識として問われるとは限りません。時事問題を切り口にして教科学習と関連づけたり、時事問題を想起する形で答えるような問題も増える傾向にあるようです。記述問題としても、複数の学校で出題されるようになりました。

入試は、学校からのメッセージとも言われています。今、2020年からの大学入試改革にむけて、教育現場では、主体的・対話的で深い学びとされるアクティブラーニングがかなう学習プログラムの開発や実践が、進められているところです。入学試験とは、「このような授業が待っている」「このような思考ができる生徒に学んでほしい」という学校の思いや工夫が現れているような問題に子どもたちが出会う場とも言えるでしょう。

中学入試は、10代初めの子ども達に合格・不合格を宣告するシビアなものですが、「楽しかった」という言葉とともに、試験会場で問題を解くことによって自分の興味が広がったり思考も育ったりしたという体験も、春を迎える6年生達から聞かれることがあります。子どもたちの入学試験というものが今後の時代にも実施されていくのだとしたら、成長の過程にポジティブに働きかける要素を存分にもつ、豊かなものであってほしいと思わされます。

AI(人口知能)・ロボットの話題が、国語にも急増

時事問題は、社会と理科で扱われることが多いですが、2018年度は、国語の読解文の内容にも時代が現れていることが、感じられました。国語の中学入試問題に詳しい小泉浩明氏(平山入試研究所)が首都圏の国立・私立中学校を中心とした約76 校の国語入試問題を分析したところ、「科学」関連の文章の読解問題が急増したそうです。これは、話題のAI(人工知能)やロボットに関わる文章が使われるようになった影響のようです。

今、「人間がAIに職業を奪われてしまう」というショッキングな警告も、広く社会に知れ渡るようになりました。さらに、中学を受験する小学生たちが、ロボットについて知り、考えることを求められる時代にもなってきたようです。(※ちなみに、この記事のタイトルや冒頭文の◯◯には、この「AI」の2文字が入ることを想定しました。)

2018年度中学入試で、複数校によって国語の読解問題に引用された『〈弱いロボット〉の思考わたし・身体・コミュニケーション』 (岡田美智男/講談社現代新書/2017)

2018年度に多数出題された時事問題。日本人として、正しい知識をもち、しっかりと考えておきたいテーマばかりでした。これからの時代を見据えて、意欲をもって課題解決をしていく能力を育もうとする新しい教育のなかで、未来を担う子どもたちの学びの風景は、現代を生きる大人が日々向き合う社会の課題と重なります。中学入試で扱われる時事問題を眺めることで、大人の方も、子どもたちと共に考えたいこと、子どもたちに知らせたいこと、そして自分自身の暮らしの視点や思考も、問われる思いがするのではないでしょうか。

(本記事の情報は、公開当時のものです。)

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