フィンランド式!幼児イベント。英語で、科学や絵本の世界を体感|NPO法人ザ・グローバル・ファミリーズ【レポート】

幼児期は、生涯にわたっての基盤をつくる大切な時期。文部科学省も、「ひとりひとりの持つ良さや可能性を見いだし,その芽を伸ばす」幼児教育を重要としています。

人としての力はもちろん、国際的な感性や視野も必要とされるこれからの時代。幼児にはどんな教育環境がふさわしいのでしょうか。今回は、そのヒントも求めて、この春実施された、フィンランド式の幼児教育イベントの様子をお伝えします。

世界一の教育先進国 フィンランド式の幼児教育を使った国際交流

イベントは、フィンランド大使館後援。フィンランドと言えば、教育水準世界一とされ、ひとりひとりの個性を尊重する教育を推進してきた国です。また、主催したNPO法人ザ・グローバル・ファミリーズは、大人も子どもも一緒に異文化や多言語に触れながら国際感覚を身につける機会を提供している団体。今回も、家族参加型の国際交流イベントの一貫として、英語やサイエンスに触れながらの親子ワークショップを開催しました。

 

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そして、「磁石の探求」をテーマにした科学ワークショップを横浜国立大学准教授ハンネス・レービガー博士、絵本や音楽のワークショップを、この日の会場でもあるムーミン幼稚園のミンナ先生が担当。おふたりともフィンランド人です。

ワークショップはすべて英語で進められましたが、フィンランドでは、3〜4ヶ国語を話す人も珍しくないようです。日本でも教科としての「英語」が小学校でスタートしますが、フィンランドは、もともとが多言語国家。普段から多くの言語に触れる機会も多く、小学校の低学年で英語を第一外国語として、高校では第三外国語も学ぶそうです。

英語でのやりとり。外国の言葉や文化への心の壁を取り払う

この日は3〜7歳の親子を中心とした、国際色豊かな70名を越える参加者が。すべてが英語でやりとりされるなか、日本人親子のみなさんも、自然な形で楽しんでいました。

 

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フィンランド式の幼児教育を本格的に取り入れているムーミン幼稚園の代表バーバラ・ザモーラ・ヴァータヤさん。

 

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本棚にはフィンランド語の絵本も!

工夫に富んだ体感型の絵本読み聞かせ・ワークショップ

この日の前半は、絵本のストーリーを楽しむワークショップ。絵本は、フィンランド児童文学の代表作でもある『ムーミン』(トーベ・ヤンソン・作)です。子どもたちは、表情も豊かに本を読み進める先生と、対話をしながらストーリーの世界に入り込んでいました。

また、幾人かの子どもたちは、紙を丸めた筒やタンブラーなどのどこか素朴なアイテムたちを手渡されました。これらが、ストーリーにあわせて途中で使われていくのも、子どもたちにとってはサプライズの連続に。タンブラーの中には宝地図が入っており、紙の筒は望遠鏡だったことが判明し、大風の場面にはうちわで風が送られるなど、ストーリーを体験・体感できる参加型の取り組みになっていました。
『ムーミン』のストーリーが展開! 先生と対話し、ところどころアイテムも使われながら物語が進行し、子どもたちも夢中。

 

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青い“ムーミンハウス”の隣に座るミンナ先生。表情も表現も豊かに読み聞かせ。しかし、特別大きな声を出したり、子どもたちを一様に同じ動きをしたりして統制するような進行はありませんでした。

本物の科学者によるサイエンスの体感ワークショップ

後半は、サイエンスのワークショップ。もちろんこちらも英語で進行。少人数のグループに分かれて進行められました。

用意されたグッズを使って体感しながら進むワークなので、同じグループのメンバー同士のやりとりも生まれます。もともと日本語を使わない親子もいる環境で、日本語を使うという選択肢自体がなくなっている様子。自然に英語中心のコミュニケーションが展開されているのが印象的でした。

そして、内容は、やはり、子どもたちが「磁力」について自分の手を使って体感できるもの。「くっつく」「反発する」という磁石の基本性質から、地球の磁力とコンパスのこと、そして、電磁石の活用としてリニアモーターカーの原理が体感できるワークまで。コイル上の筒の中を、電磁の力でマグネットが進んでいく様子には、「おお!」と声をあげる保護者の姿もありました。

 

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身近な材料で作られているようだけれど、どこか不思議で「なんだろう」とわくわくさせる、この日の器具。各グループに、このトレーが用意されていました。

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就学前の幼児たちが集中を切らさず興味津々。理学博士のハンネスさんは、イギリスの科学雑誌ネイチャーに論文が掲載された実績もある科学者。

思い思いに興味をもって集中。幼児でも「ひとりひとり」を大切に。

そのほかにも、この日のワークには、ミンナ先生によるピアノのリードによる音楽リトミックや、磁石を使った簡単なお絵かき工作などアートの要素の入ったとりくみもあり、約1時間半のあいだ、子どもたちは、いきいきと参加していました。

印象的だったのは、とても大きな音や声で注意をひきつけたり、声や動きをみなで揃える形で全体を一つにしたりするような進行がなかったことです。まだ幼い子たちが思い思いの様子で参加し、自由で主体的な関わり方をしているように見えたことが心に残りました。

子どもたちは自然にワークに参加していましたが、全員が先生のもとに集まる集団をつくることが特別なゴールでもないようで、「参加したくない子は、それはそれでOK。無理に集まらなくてもいい」そうです。個性を大切にして個人の力を高める教育について、日本に根づいている集団的な教育観との違いも、改めて考えさせられました。

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また、今、日本の学校でめざそうとしている「アクティブ・ラーニング」は、従来の日本教育のような、先生の話をただ受け身できく授業とは、対局にあるものです。ひとりひとりが意欲的に参加し、課題を見つけ、協働して解決していく力を育てることが目標のひとつとされています。

幼児のときから、当たり前に「ひとりひとり」を大事にし、それぞれの自然な集中力や主体性が発揮されているように見えた、フィンランド式幼児教育イベント。

北欧の視点もとりいれながら、日本の私たちが、今、これをヒントに、視点を変えた方がいいかもしれないこと、また、従来のものも大切にしながら上手に取り入れられそうなことが、いくつかあるような気がしました。

 

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